2023年4月29日土曜日

天上の武器は神の言葉だ

 前からのつづきです。
 ヘロデの攻撃の可能性に対して意見が対立してます。そこでヨハネは二人の意見をまとめてこんなふうに言います。ちょっと失礼して

地上の武器は剣や槍だ。だが、天上の武器は神の言葉だ。それは地上にあっては弱い。……だが天上の勝利はそこにあるのだ。

 天上(神)を信じない人には空しい言葉かもしれませんね。でも人って言葉で生きてるから、地上の戦争だって言葉がだいじな役割をしてるはず。 プロパガンダっていうのもそうでしょ? だからわたしにはこのヨハネの言葉は、ただ理想を語っているだけではなく、大事なことを言っているんだと思います。どんな状況にさらされても神の言葉に信頼して、自分の身の処し方を決めるってことかもしれない。それが信仰っていうもの? そう思うと、あらためて信仰ってなんだろうと考えます。これ、きっととても大事なことですね。

 ところで最後に、ヨハネはまたイエスに意見を求めます。イエスの答えは「逃げること」。逃げるが勝ち? みんなが失笑します。でもヨハネはそれを「隠れること」と言いかえて、時機を待つことと理解します。
 この小説でも、イエスが処刑されたときペトロたちは隠れました。逃げたわけではありません。そして立ち上がるタイミングを見計らっていました。ですからこの箇所は伏線としても読めますね。

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