2023年4月13日木曜日

ヨハネvsヘロデ

 それから二人はいよいよヘロデの宮殿に赴きます。ヘロデの容貌がこんなふうに描写されてます。ちょっと失礼して

 かれは黒々とした豊かな髭をたくわえていた。だがその眼は真心というようなものを少しも湛えてはいなかった。鷲のように鋭い目は、むしろ狡猾な性格を表していた。鋭く曲がった鉤鼻は、何事も嗅ぎ漏らすまいとするかのように鼻孔を膨らませていた。

 悪役の人相ですね。さて、いよいよヨハネとヘロデの対決です。
 ヘロデはヨハネを尊大な態度で迎えます。ヨハネは歯に衣着せぬ言葉の刃でヘロデの不倫を責めます。さすがのヘロデも白を切りとおすことはできません。そこでこんな泣き言(ヘロデは気づいてないようですけど)を言います。「女を愛したこともないおまえに何がわかるというのだ。……おれとてどれほど苦しんだことか、おまえなどにはわかるまい」
 これってダメ男のセリフですよね。勝手にしなさい、って呆れます。だからヨハネに「おもえはそれでも領主か」って突っ込まれるんです。
 そう言われてヘロデは怒り出します。そして部下に命じてヨハネを逮捕させます。でもこれってヨハネが仕掛けたことかもしれません。きっとこれも「神の筋書き」なんでしょう。

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