2017年7月31日月曜日

宿命

マルコは先生であるペトロの死を「宿命」ととらえています。
たしかに、師はエルサレムでもローマでも命を狙われ、ついに殺されていった。だがそれは、師にとって、宿命であったかもしれないのだ……
ペトロがローマで死んだのはたしかネロの時代のこと。
エルサレムでも命を狙われたというのは、エルサレムにできた教会が弾圧されて、そのときペトロも逮捕されて牢にいれられてしまったことを言うのでしょう。
 でもペトロさん、天使が助けに来てくれるんですよ。
 聖書では「使徒言行録」の12章に書いてあります。

2017年7月30日日曜日

他人はかれをマルコと呼んだ

ガリラヤ湖畔に佇む五十歳くらいの男性。
この人、アレクサンドリアから船にのって、ここへ着いたばかりのようです。
目的は「師から託された使命を果たすため」。
師というのはペトロのこと。あのイエスの一番弟子。いぜんは「ペテロ」と呼ばれてましたけど、最近では「ペトロ」と呼ばれるようになったみたいです。教会でよく使われている「新共同訳聖書」でそう書かれているからでしょうか?

どうやらペトロがローマで殉教したあと、この人は命からがらエジプトのアレクサンドリアに逃げてきたたようで、そのときペトロから託されたのが、ペトロの「証言」でした。きっとこの証言を実地で確かめたくて、ガリラヤに来たのでしょうね。

そしていよいよ、この人の名前が明かされます。


男の名はヨハネ、他人(ひと)はかれをマルコと呼んだ。



2017年7月29日土曜日

禿頭の男

朝の情景描写のあと、中心人物がまだ名前をふせたまま紹介されます。
ちょっと失礼して……

湖畔に禿頭の男が佇んでいる。年恰好から疾うに五十は過ぎていよう。背丈は中背、粗末な胴衣の下に筋肉質の痩身が透けて見える。褐色に染まった男の顔には、長年の労苦の跡を示す深い皺が幾筋も刻み込まれている。だがその眼窩(がんか)に童子のような瞳が湛えられている。
   禿頭、痩身、眼窩……どれも硬い漢字ですけど、
きりっと引き締まったキャラには、よく合ってます。
それにちょっと古めかしい感じもでていて、

分りやすくて平易な文体よりも、わたしは好きです。


2017年7月28日金曜日

朝凪のなかで

 では本文、読んでみますね。第1節の書きだし。ちょっと失礼して……
 
 ガリラヤ湖は朝凪(あさなぎ)のなかで目覚めつつあった。
 対岸の山脈(やまなみ)が、まだ明け染めぬ空を背にして、しだいに浮かび上がってきた ――

 どうですか? 夜明け前の情景が目に浮かぶようです。

声を出して読んでみると、とても流れのよい文章になっていることがよくわかります。
それに、ちょっと「春はあけぼの」というのとイメージ重なりません?


2017年7月27日木曜日

献身


著者の竹内豊さんについて……
 「マルコによれば 第1章」の「あとがき」(現在出てるのは第2版なので、「あとがき」は2つある)を読むと、竹内さんは前に「献身」したことがあるそうです。
 ちょっと失礼して引用させていただきます。
 
「この小説の構想を得たのは、2013年5月のことです。
その直前まで、わたしは献身者として、神学に取り組んでいました。献身というのは、キリスト教の信徒が、牧師や説教者になるために、志願表明することです。
わたしは、ある事情で献身を拒否されたために、しばらく途方にくれていました。そのとき浮かんだのが、小説の執筆でした。」

何があったのでしょう? 
でも一度は牧師や説教者になることを決意した人だから、キリスト教のことをいっぱい勉強していらっしゃるのでしょうね、きっと。


2017年7月26日水曜日

キリスト教系の社会派

  「マルコによれば」の著者竹内豊さん。どこかで聞いたような名前だけど、あの人ではないよね、まちがいなく。で、どんな人かなと思って検索しても、ヒットしない。
 アマゾンで竹内さんの本をみると、「マルコによれば」のほかに、「9.11とキリスト教」とか「アメリカ教」というのを出している。だからキリスト教系の社会派なんだろう。教会には福祉系と政治系があることを教会にいたころ知ったけど、それでいくと竹内さんは後者だろう。
 ほかに「森有正研究」という硬い本も出されている。(あ!敬語つかってる)難しそうなので、いまは敬遠。でも森有正のことは、ちょっとなら知っている。くわしいことは Wiki にまかせて、とにかく著者の竹内さんはこういう系の方なのだろう。だから「マルコによれば」も、ベースがしっかりしたものだと思う。
 


2017年7月25日火曜日

小舟にのった三人の男の影

  はじめまして
 ブンガク女子のナオミです。

 すこしまえにアマゾンの電子本で「マルコによれば」という本をみつけました。
 わたし、高校生まで教会に通ってましたから、
 マルコといえば「ちびまるこ」よりも福音書のマルコのほうに親しみをもってます。

 小舟に三人の男がのったシルエットの表紙がすてきで、
 紹介文にも興味がもてたので、
 ちょっと高かったけど(250円)ダウンロードしました。

 [竹内豊]の小説マルコによれば: 第1章(第2版)

第2章について

  『マルコによれば』第2章について書いてきました。ここでちょっとこの章について感想を述べてみます。  本章は時系列からいうと第1章(プロローグ)の前に位置します。第1章はイエスの「 公生涯 」に沿った物語展開でした。本章はその前史で、作者が想像的に描いたものですが、イエスがキリ...