最後の晩餐の場面でおもしろいのは、熱心党のシモンの絡みです。
この人、れっきとした12弟子の一人。でもネームヴァリューが低くて、そんな弟子いたのって感じです。でもこの小説がおもしろいのは、そんなマイナーなひとがクローズアップされているところです。ちなみにこのひと、第4章ではほとんど主役です。ユダとふたりのダブルキャストで。
さてシモンはイエスにききます。長いセリフなので、短く要約します。
「おれはずっと運動に関わってきた。……だがそのために妻を喪った。そういうおれにユダは、『恨むなら神を恨め』と言ってくれた。だが神を恨んだところで、おれの罪が消えるわけでもないし、死んだ仲間たちが蘇るわけでもない。師よ、教えてくれ。神はおれたちの望み、ガリラヤ人の期待に、ほんとうに応えてくれるのか」
シモンにはとても切実な問いです。イエスはしばらくして答えます。
「シモン、おれにはお前が望むように答えてやることはできぬ。神の御心なぞ、おれたちが忖度(そんたく)できるものではないのだ」
それを聞いてシモンはまた問います。つづきはまた。
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