さて兵隊たちはイエスの遺体を共同墓地に遺棄したあと、すぐに立ち去っていきます。
と……
だがこの光景のいっさいを見届けていた者がいた。
だれだと思います? ペトロです。かれはイエスのそばにいようと、墓で一夜を明かすつもりでいたのです。そこへ兵隊たちが突然現れたので身を隠したのです。その後かれは兵隊たちの跡をつけてゆきました。そして兵隊たちが去ったあと、すぐにイエスの遺体がはいった麻袋のそばにきたのです。でもあたりは真っ暗ですから袋の中をたしかめることはできません。手の感触で遺体が入っていることを確認しただけです。
すでに雨は止んでいた。だが辺りは、まるで洞窟の中のような漆黒の闇に包まれていた。遺体を担いでまた墓に戻ることは到底できなかった。……今できることは、とにかく夜が明けるまで遺体の傍にいることであった。
こうしてペトロはイエスの遺体が入った麻袋のそばで、昨日からの出来事を思い出しながら眠りにおちてゆきます。このあたりの作者の描写はとてもリアルで、読んでいて引き込まれます。
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