2020年5月22日金曜日

はじめに

 作者は本文に入るまえに「はじめに」という短い文をのせています。そっくり書き写してみます。失礼して……
 ここに記された話は、ヘロデ・アンティパスに纏わる記事のほかは、ペトロがゼベダイの息子ヤコブとヨハネから聞いた話がもとになっている。だがそこには伝承、噂の類いから、ヤコブやヨハネ自身の想像など、雑多な記憶が混じっていることを断わっておかなければならない。ここに出てくる「エッセネの園」 ― 洗者ヨハネが創建した学舎の呼称である ― を知らないペトロにとって、ヨハネから聞かされる話は、師イエスのガリラヤにおける活動と密接に関わっているだけに、その関心もひとしおであった。ペトロがヨハネから聞いた話は、後にペトロの弟子マルコに伝えられた。マルコはかれの福音書を執筆するにあたって、その話を、イエスをめぐる物語のなかに採り入れた。
 この「まえがき」よく読むと、作者の地の声はなくて、小説内の「記者」の声になっています。こんな断わりが記されているのは、この章にペトロもマルコも登場しないからでしょう。それをなんとかペトロやマルコにつなげるために「記者」の断り書きというかたちで、作者が書いたのではないかと思います。なんだかややこしくなってしまいましたけど。


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