2020年5月3日日曜日

たしかにあったのだ


ペトロが目を覚ますと、辺りはすでに明るくなっていた。
 ペトロは寝過してしまったようです。暗闇の中では見えなかった周りのようすが、いまははっきり見えます。でもそこはスルーして……なんとイエスの遺体が入った麻袋がありません。
(たしかにあったのだ、四人の兵隊に担がれてきた遺体が。おれは師の傍にいたのだ……)
 え? なにか悪い夢でも見てたの? それともペトロが寝てる間に、だれかが麻袋を盗っていってしまったの? でもあったはずのものが無いってこと、わたしにも経験があります。長い間行方不明だった道具が、ある日見つかったことがありました。「ああこんなところにあったんだ」って喜んだのもつかのま、しばらく経ってから、さてあの道具は……って見ると、また見当たらなくなってしまったんです。それでそのときはあきらめて、そのうち出てくるだろうって思ってましたが、その後ぜんぜん出てこないんです。いまだに行方不明。でもこんなミステリアスな経験、だれにもあるんじゃないかな。
 とにかくペトロは意気消沈。このあとどうなるのかしら?


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