そういうわけで、イエスの策略を成就させることができるのはユダだけです。
ユダは、それがじぶんの「使命」だと思ってます。
それにイエスが死んだ後のことも考えなければなりません。
そこでユダは、イエスの遺志をうけつぐ人たちが「組織」をつくることを考えます。
面白いのは、ユダは組織を作る人たちに自分を加えていないことです。
ここでユダが考えているのは、いつかできる「組織」を想定して、それをあらかじめ守ろうということなんです。ユダは先のことまで心配しているんです。
そのためにユダは神殿に出向いて交渉してきたんです。ちょっと失礼して……
「そうだ。師が捕まれば、おれたちにたいする官憲の追及は免れない。だがおれたちが散り散りになってしまえば、だれが師の遺志を引き継ぐのだ? これまでのように師に随っているだけでは済まなくなる。これからはもっと結束を固めなければ立ち行かなくなるだろう。だから組織が必要なのだ。組織をつくって官憲の追及から守られるような方策を立てていくことが必要なのだ。……その手始めに、やつらと交渉する必要があったのだ」
福音書はどれもイエスの死を「受難」として描いてますけど、当時イエスは熱心党との関係が疑われる要注意人物。そのリーダーが処刑されたのですから、かれの仲間たちはいまでいえば「共謀罪」で捕まる恐れがあったはずです。リーダーを処刑したからといって、それで官憲が手をゆるめるとは思えません。だからユダが、イエスが死んだあとの仲間の安全を考えたのはとてもリアルなことに思えます。ユダはそのために「先手」を打ったんです。ユダってすごい!
0 件のコメント:
コメントを投稿