ヨハネの死は、一見ヘロデに好都合なことのようにもみえますが、そうもいきません。ヨハネ殺害の嫌疑が自分に向けられれば、民衆のさらなる離反を招きます。ヘロデには痛しかゆしといったところ。
いっぽうエッセネの園でも、ヘロデがこの機に乗じて園の壊滅を急ぐのではないかと戦々恐々状態です。この難局をどう乗り切るか。
まずはヘロデの動向を探るためにフィリポとヤコブ(ヨハネの兄)が故郷のガリラヤに戻って、現地の偵察を志願します。もともとヘロデはガリラヤの領主ですから、情報を得るのによいと考えたのです。
でももう一つ重要なことがあります。園の存続です。ヨハネは今回の責任をとって筆頭としての役を降りたいと言います。そこで後継にイエスが指名されますが、イエスはきっぱりと断ります。かれが後継指名を断ったというのは、そんな大任を引き受けたくないということではなくて、園の存続にこだわらないということです。かれは、いちばん大事なことはヨハネの遺志を継ぐことだと言います。
2023年5月31日水曜日
園の存続
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