2017年12月3日日曜日

お前らが言いたいのはそれだけか

 さてイエスをガリラヤへ送ろうというピラトのアイデアも、祭司によって斥けられます。そのとき、それまで黙っていたイエスが「お前らが言いたいのはそれだけか。……お前らに乗っ取られたユダヤの、何と哀れなことよ」と言って、まわりを取り囲んだ人たちに向って「さっさと茶番を終わらせ、おれを吊るしたらどうだ」と叫びます。これに怒ったピラトは急に態度を硬化させて「この男を鞭打て」と命じます。祭司たちが用意した「公衆」がそれっとばかり一斉に「殺せ、殺せ」と煽ると、ピラトはもう手に負えないとばかり「おれの知ったことか」と責任を放棄してしまいます。そしてイエスをローマに対する反逆罪で死刑にすることを宣言してしまいます。刑の執行は正午に決まります。

鞭打たれて弱ったイエスの姿にペトロは身が裂かれるような思いをしています。そのペトロの心の内がつぎのように描かれます。

ペトロは、師が引きずられていくのを見ると、居ても立ってもいられず、直ぐにも躍り出たい衝動に駆られた……が、堪えなければならなかった。
 (いまそのようなことをすれば、すべてを台無しにしてしまう)
  師が耐えているのと同じに、ペトロもまた血を吐くほどの思いで耐えていたのである……

 三度も否認したペトロとだいぶちがうペトロが描かれています。
 
 


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