イエスの名前を呼んだあと、ペトロは膝を屈して泣きます。でもかれにはユダから託された使命があります。大勢の巡礼者たちが神殿をめざすのとは逆方向に、ペトロは神殿に背をむけて歩みはじめます。9節は、つぎのように締めくくられます。
ペトロは空を見上げた ――
朝空に白雲がたなびいている。が、漁で鍛えたかれの目は、遠くに一点の黒雲があるのを見逃さなかった。かれは自分を奮い立たせるように神殿の階段を駆け降りると、仲間のもとに急いだ。その耳に、刻(とき)を告げる鶏の声が聴こえていた……聖書ではペトロが三度否認した後に聴こえてくる鶏の声が、小説ではここで聞えてきます。
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