イエスの死が確認されたとき、ひとりの男が遺体の引き取りを申し出ます。
聖書に書かれていますが、このひとはアリマタヤのヨセフという人です。小説でもそれをなぞっています。でもその後がすこし違います。それはまたのちほどにして、まずイエスの遺体が杭からおろされます。
まずイエスの足に打たれた釘が抜かれ、横木が杭からはずされ、遺体は地面に臥(ね)かされた。それから両手首の釘が抜かれ、横木もはずされた。いっさいを剥奪され木偶(でく)となったイエスの遺体は、空しく仰臥(ぎょうが)していた。傍らに「ユダヤの王」と書かれた捨札が打ち捨てられていた……
もうすでに雨が落ちてきてます。イエスの遺骸は雨にさらされてます。人々の数もめっきり減ってしまいました。なんて虚しいことでしょう。でも作者はここでさり気なくローマの隊長が自分の外套(サガム)を脱いでイエスの亡骸にかぶせる仕草を書きこんでます。隊長はさっきは「これが神の子だ」と皮肉を言った人です。でもその隊長が示した何気ない行為こそ、イエスがイイねって言うはずの行為じゃないかしら。そんなちいさな芽を大切にしたいね。作者はきっとそんな思いを込めて、ここを書いたのではないかしら。
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